2002年01月05日

米国の車椅子バスケを説明しましょう。〜NWBA(全米車椅子バスケット協会)情報

 まず、簡単にNWBAを説明すると、デビジョン1、2,3(以下D1、2,3、)と女子、ジュニア(18歳以下)の5つのカテゴリに分かれています。その年によってチーム数などは、かなり変動があるのですが、今年はD1が10チームで、D2、D3、女子、ジュニアを合わせるとたくさんです。(笑)実は一昨年の登録上では200チーム以上あるのですが、実際に活動しているチームは、はっきり言って分かりません。何せアバウトな国ですから。それと、未だ日本には存在しないジュニアチームも20チーム程度が活動しています。また、確かNWBA傘下には入っていませんが、更に下のジュニア(概ね12歳以下)のカテゴリもあり、もちろん全国大会もあります。

 試合形式は、今年からD1がNBAルールを採用。それ以外はNCAA(大学リーグ)のルールを採用しているのです。また、持ち点制度も国際ルールの14点制ではなく、12点制でクラスは1,2,3点しかありません。しかも、身障者手帳なる物も存在しないので、健常者でもクラス3で参加できます。というか、本来は参加できないのですが、「足が悪い!」と言張れば認めざる得ないようで、暗黙の了解で参加しています。更には試合中のジャッジも全く違い、ラフなプレーは大歓迎。いつだったか、試合中に「さっきのファールじゃないの?」と聞いたら、国際審判員でもある彼は「国際ならファールだけど、アメリカだとOKだよ!」と笑っていました。どれもこれもバスケを面白くするためのルールだと思うのですが、このように国際ルールを完全に無視して、我が道をいく米国の姿勢は何とも米国らしいと思うわけです。

 シーズンは基本的に10月下旬から翌年の4月上旬までとなっており、夏の間は全く練習がありません。選手は自主トレをするか、テニスやマリンスポーツなど違う競技に熱中します。チーム練習もマチマチですが、我がストームの場合で9月上旬からスタートして、最初の一月が走りこみ中心です。そして、徐々にシステムやゲーム形式の練習が増えていき、シーズンが始まった後は殆ど実践を想定した組織的なプレーの確認を何度も繰り返し行います。これはとても重要だけどつまらない練習なので、選手のみんなはブーイングです。(笑)

 D1への参戦資格もはっきりしておらず、やる気と実力と資金があると認められれば、新チームでも参戦できているみたいです。正直言ってその辺の取り決めやルールは、NWBAの役員になっている我がチームのスコットに聞いても、「その時によって変るのではっきりとは言えない」とのことです。この国では、そんなことはあまり重要ではないようです。

 次に優勝までの道のりを説明しましょう。基本的にはリーグ戦と、各地で開催されるトーナメントに出場し、その勝敗などを元にNWBAが定期的に各デビジョンのランキングを出します。それによって3月頃に行われる最終トーナメント表の位置が決まっていくのです。例えば1〜4位まではシード、それ以外はランキングの順に割り振られていくという具合です。D1は全米規模で活動するので、遠征地も全米各地となりますが、D2以下は地域によって、4地区に分けられているので、その地区での遠征がほとんどです。

 1シーズンに消化する試合は、チームのやる気や財政状況によって変りますが、だいたい25試合から40試合で、基本的に練習試合なるものはありません。シーズンが始まれば、全ての試合はランキングに影響してくるのです。

 先ほどから”チームの財力”といことを何度か出しましたが、基本的に米国ではスポーツをするのにお金を払うという感覚は無いようです。どのチームもスポンサーを持っており、ユニホームから遠征費までチームが負担します。もちろん部費を払うこともないし、我がチームは結構しっかりした財団がサポートしているので、遠征中のチームディナーもお酒以外はスポンサーのカードでお支払いです。もっと強いチームや財力があるチームは、選手をお金でリクルート(NWBAでは違反行為となりますが、みんなやっている)したり、お金が絡んだ動きが活発です。

 まあ、お金を払ってリクルート・・は行き過ぎとしても、日本での活動でもサポートしてもらうためのスポンサーは絶対に必要かなーと思うわけです。そのためにチームが出来ることや方向性なども、風呂屋のキャプテンである森本氏と、常に話し合いながらスポンサー獲得作戦も展開しております。

 最後に、今季D1への参加登録チームは下記の10チームです。

1、ダラス・マーべリックス(テキサス州)
2、ゴールデンステート・ウォーリアーズ(カリフォルニア州)
3、ミルウォーキー・バックス(ウイスコンシン州)
4、デンバー・ナゲッツ(コロラド州)
5、シャーロットー・バーズ(ノースキャロライナ州)
6、ミュージックシティー・ライトニング(テネシー州)
7、UTA(テキサス州立大学アーリントン校)
8、U of I(イリノイ州立大学シャンペーン校)
9、オースティン・ワーカース(テキサス州)
10、レイクショア・ストーム(アラバマ州)

※米国でも大学の車椅子バスケチームは数が少ないので、大学リーグとNWBAの両方にエントリーする事ができるのです。ちなみに海外選手はカナダが断トツで多く、10人くらいいると思います。他にもオーストラリア、メキシコ、スウェーデンなどの選手がプレーしています。
つづく


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