6月に決定したパラリンピックの出場に喜んでいたのもつかの間、全日本の合宿などで先月も一時帰国をするなど、日米間を行ったり来たりの生活で、本題である指導者研修が思うように進まず、苦労している今日この頃です。
さて、今回はリトルスリックスという財団の事業を紹介します。これは、レーシングカーを子供たちと一緒に作り上げて、実際にレースへ参加するという、日本では想像もつかない事業です。基本的に対象は障害児なのですが、ここでも興味があれば障害の有無に関係なく参加できるため、障害者・健常者の”カベ”は一切ありません。開催は月に1、2回で主に土曜日に開催され、参加費用は無料です。その代わり財団は実際のレースやメディアなどを使って宣伝活動をするというからくりです。
子供たちは実際に図面を見ながら、油まみれになってボルト締め等の組み立て作業に携わります。中には重度で電動車イスの子供も参加しているのですが、作業が手伝えない分、図面の解読や指示に回って参加しているのです。
始めて参加したときは、「こんなことに大金を費やして何になるのか?」と疑問を感じてしまいましたが、夢中で作業をする彼らの姿を見て、無駄ではないことを実感しました。日本ではやる前に「障害者では無理」と決め付けて、その機会さえ与えられないことが多いのですが、アメリカでは子供たちの可能性を広げるために、どんなことでも挑戦する機会を与える環境があります。
もしかすると将来彼らの中から、レーサーやプロのメカニックが生まれるかも知れませんし、自動車関連の職に就く子も出てくるのでしょう。
私は障害を持ってからの14年間を通していつも思う事があるのですが、それは日本が閉鎖的で情報の流れも悪く、チャレンジする機会さえ与えられないことが多いということです。やはり知らされないことが大きなバリア(弊害)になっているような気がしています。これらの流れを少しでも変えることが出来れば…。改めて自分が渡米した目的や将来の夢を実感しています。
2000年07月01日
E車を作り、レースに参加(2000年7月掲載)障害者と健常者、一切カベない米国、日本の閉鎖的姿勢がバリアに
posted by J's Page at 00:00| 神保康弘の夢チャレンジ