いよいよ、今シーズンも全米選手権(ファイナル)を残すのみとなりました。 ということで、今回の体験記は最後の大会となる、全米選手権の事前情報を中心に、少しだけ“日本と違う部分”も書いてみようと思います。
まず、いつもアメリカで感心するところとして、この国のスポーツにおける環境は、地位、解釈と理解、経済面など、どれをとっても日本とは全く違って進んでいるということです。 いつも事あるごとに書いているけど、特に経済面での違いは月とスッポン。 我がデンバーナゲッツを例えにしても、単なるクラブチームの予算で、1シーズンに5,6万ドルもあるのです。また、スポンサーからユニホーム等の支給もあるし、殆どのD1選手はバスケ車もスポンサー契約により無料で支給を受けています。 もちろん、今回の遠征も全てチームが負担するのですが、聞くところによると、遠征は春休みシーズンと重なっていることや、6日間という長旅のお陰で、一人当たりの予算は約1000ドルとの事。それでも選手が負担する費用が一切無いというところが嬉しい限りです。まあ、基本的にはバスケをする上で必要な経費は一切掛からないといって良いでしょう。
ところで、今回の全米選手権はシステムが変わった関係で、大会期間が水曜日から土曜日までの4日間になりました。また、火曜日に現地入りして帰宅が日曜日となるので、上でも書いたように6日間の日程になるのですが、これは国際大会並の予定です。 では、なぜ今年の選手権が水曜日から始まるかというと、 D1のみ、通常の全米上位4チーム出場枠から、9チーム出場へと変わったためです。 しかも、全米選手権の重み?というか、この大会では1日に1チーム1試合だけしか試合がないのです。 アメリカの場合、通常のリーグ戦やトーナメントでは、1日に4試合するような事もあるのですが、全米選手権だけは非常に特別です。 しかし、日本選手権が20チーム出場できるのに比べると、アメリカのシステムでは極端に出場できるチームが少ない(通常は全米でD1及びD2の上位、各4チームのみ)という反面もあります。
ここで、面白い話しを一つ。
全米選手権に出場する4チームを決める地区予選での話しです。通常は東・西・中・南の4地区に別れてプレイオフが始まり、各地区で優勝したチームが、全米選手権に出場できるのですが、実はそんなに単純ではないのです。 というのも、実力主義のアメリカゆえ、プレイオフの前に全米ランキングに基づいての“振り分け”があるのです。 例えば、南地区に全米ランク1,3位のチームがいた場合、3位のチームは南地区でプレイオフを戦うと不利になります。何せ同じ地区に全米1位のチームがいる訳ですから。 そこで、3位のチームは南地区以外のプレイオフに出場することができるのです。このように地区というのは、あくまでも目安に過ぎず、最終的には末端からトップを決めるまで、実力に応じて有利な位置が得られるようになっているのです。これは大学のリーグやNBAでも同じようなシステムが採用されています。そうそう、NCAA(大学リーグ)も先日からプレイオフが始まっているのですが、やはりこの“振り分け”がなされているようです。何せ西地区に属するコロラド大学が、南地区のトーナメント表に入っていましたから。でも、実はJも詳しいシステムは分からないので、細かいことは書けません。
日本選手権では、多いチームだと1日3試合をこなす必要があります。そして、翌日も2試合という過酷さ・・。また、日本の場合は各ブロック単位で、日本選手権への出場枠が守られているので、完全な実力主義とは言えません。例えば、強豪の関東ブロックを見てみると、本戦への出場枠は3つなので、当然のことながら4番目のチームは本戦に出場できません。しかし、そのチームが、もしアメリカのように、他のブロックで予選に出られるとすれば、間違いなく出場権を得られるのです。 ただし、日本は現状のシステムのお陰で、2日間の大会にも関わらず全国各地から20チームもの参加が可能なのです。 もちろん、どっちのシステムが良いとか悪いとか言うつもりは無いのですが、Jが思うに、この違いには日米のスポーツに対する考え方の違いや、“実力での平等”を重んじるアメリカと、“世間的な平等”を重んじる日本文化の違いなどもあるように思います。 多分、どちらにもメリットとデメリットが発生すると思のですが、詳しくは長くなるのでやめておきます。 ※この話を地方ブロックの方々が読んだら怒るかも知れませんが、Jは批難や中傷をしているのではなく、あくまでも事実を紹介しただけですのでご理解下さい。
とにかく、我がナゲッツはシーズンを通して勝ち取った、全米ランキング3位の場所から全米選手権はスタートするのです。まず1回戦で6位のホウィワイトウォーターと戦い、それに勝てば次は3位のダラス戦が濃厚です。Jの目標は「与えられたプレータイムに全力を出し切ること」と、「チームと一つになって最後まで戦うこと」です。もちろん声出しだけは、誰にも負けない意気込みで望みます。今、最後の大会を目前に控えて、自分の気持ちはとてもクリアーになっています。それは、「勝てない」とか、「試合に出られない」とかでストレスを溜める必要はなく、自分が出来ることを精一杯すれば良いということです。 Jはシーズン中に、自分で出来る限り頑張ってきたし、コーチにもアピールをしてきました。最後の試合でどの程度プレータイムが得られるかは分からないし、チームがどれだけやれるかも分かりません。しかし、Jはチームのメンバーとして出来ることを精一杯するだけです。それはチームの一員としてユニホームを着ているJの義務だと思うのです。今まではコーチとも激しい話し合いを続けてきたけど、それも、ももう終わりです。なぜならJもコーチも、この時を目指してシーズン中に学び、成長してきたわけですから。最後はそれを出し切れるかどうかだけの事だと思います。次のステップをより確実なものとするためにも、最後は悔いを残さないように自分を出し切りたいと思います。
そうそう、今年は森本文化風呂の仲間達も、厳しい関東ブロックの予選を勝ち抜いて、日本選手権の出場権を獲得してくれました。Jはアメリカにいる関係で、予選には出られなかったのですが、同じチームメイトとして本当に嬉しかったです。もちろん、本戦までには帰国してチームに合流するつもりですが、Jがどのようにチームに対して関われるかは、今のところ分かりません。しかし、ここでも同じことで、自分の出来ることは精一杯やろうと思うし、自分らしく自分の仕事をこなせればと思います。あとは、チームの一員として義務をこなしつつも、自分のバスケットを楽しむだけです。Jがコートに出た時は、入らなくてもシュートは積極的に狙うよ!(笑)