2003年03月24日

全米選手権情報 〜トーナメント表を発表

 いよいよ、今シーズンも全米選手権(ファイナル)を残すのみとなりました。 ということで、今回の体験記は最後の大会となる、全米選手権の事前情報を中心に、少しだけ“日本と違う部分”も書いてみようと思います。

 まず、いつもアメリカで感心するところとして、この国のスポーツにおける環境は、地位、解釈と理解、経済面など、どれをとっても日本とは全く違って進んでいるということです。 いつも事あるごとに書いているけど、特に経済面での違いは月とスッポン。 我がデンバーナゲッツを例えにしても、単なるクラブチームの予算で、1シーズンに5,6万ドルもあるのです。また、スポンサーからユニホーム等の支給もあるし、殆どのD1選手はバスケ車もスポンサー契約により無料で支給を受けています。 もちろん、今回の遠征も全てチームが負担するのですが、聞くところによると、遠征は春休みシーズンと重なっていることや、6日間という長旅のお陰で、一人当たりの予算は約1000ドルとの事。それでも選手が負担する費用が一切無いというところが嬉しい限りです。まあ、基本的にはバスケをする上で必要な経費は一切掛からないといって良いでしょう。 

 ところで、今回の全米選手権はシステムが変わった関係で、大会期間が水曜日から土曜日までの4日間になりました。また、火曜日に現地入りして帰宅が日曜日となるので、上でも書いたように6日間の日程になるのですが、これは国際大会並の予定です。 では、なぜ今年の選手権が水曜日から始まるかというと、 D1のみ、通常の全米上位4チーム出場枠から、9チーム出場へと変わったためです。 しかも、全米選手権の重み?というか、この大会では1日に1チーム1試合だけしか試合がないのです。 アメリカの場合、通常のリーグ戦やトーナメントでは、1日に4試合するような事もあるのですが、全米選手権だけは非常に特別です。 しかし、日本選手権が20チーム出場できるのに比べると、アメリカのシステムでは極端に出場できるチームが少ない(通常は全米でD1及びD2の上位、各4チームのみ)という反面もあります。





ここで、面白い話しを一つ。

全米選手権に出場する4チームを決める地区予選での話しです。通常は東・西・中・南の4地区に別れてプレイオフが始まり、各地区で優勝したチームが、全米選手権に出場できるのですが、実はそんなに単純ではないのです。 というのも、実力主義のアメリカゆえ、プレイオフの前に全米ランキングに基づいての“振り分け”があるのです。 例えば、南地区に全米ランク1,3位のチームがいた場合、3位のチームは南地区でプレイオフを戦うと不利になります。何せ同じ地区に全米1位のチームがいる訳ですから。 そこで、3位のチームは南地区以外のプレイオフに出場することができるのです。このように地区というのは、あくまでも目安に過ぎず、最終的には末端からトップを決めるまで、実力に応じて有利な位置が得られるようになっているのです。これは大学のリーグやNBAでも同じようなシステムが採用されています。そうそう、NCAA(大学リーグ)も先日からプレイオフが始まっているのですが、やはりこの“振り分け”がなされているようです。何せ西地区に属するコロラド大学が、南地区のトーナメント表に入っていましたから。でも、実はJも詳しいシステムは分からないので、細かいことは書けません。

 日本選手権では、多いチームだと1日3試合をこなす必要があります。そして、翌日も2試合という過酷さ・・。また、日本の場合は各ブロック単位で、日本選手権への出場枠が守られているので、完全な実力主義とは言えません。例えば、強豪の関東ブロックを見てみると、本戦への出場枠は3つなので、当然のことながら4番目のチームは本戦に出場できません。しかし、そのチームが、もしアメリカのように、他のブロックで予選に出られるとすれば、間違いなく出場権を得られるのです。  ただし、日本は現状のシステムのお陰で、2日間の大会にも関わらず全国各地から20チームもの参加が可能なのです。 もちろん、どっちのシステムが良いとか悪いとか言うつもりは無いのですが、Jが思うに、この違いには日米のスポーツに対する考え方の違いや、“実力での平等”を重んじるアメリカと、“世間的な平等”を重んじる日本文化の違いなどもあるように思います。  多分、どちらにもメリットとデメリットが発生すると思のですが、詳しくは長くなるのでやめておきます。 ※この話を地方ブロックの方々が読んだら怒るかも知れませんが、Jは批難や中傷をしているのではなく、あくまでも事実を紹介しただけですのでご理解下さい。

 とにかく、我がナゲッツはシーズンを通して勝ち取った、全米ランキング3位の場所から全米選手権はスタートするのです。まず1回戦で6位のホウィワイトウォーターと戦い、それに勝てば次は3位のダラス戦が濃厚です。Jの目標は「与えられたプレータイムに全力を出し切ること」と、「チームと一つになって最後まで戦うこと」です。もちろん声出しだけは、誰にも負けない意気込みで望みます。今、最後の大会を目前に控えて、自分の気持ちはとてもクリアーになっています。それは、「勝てない」とか、「試合に出られない」とかでストレスを溜める必要はなく、自分が出来ることを精一杯すれば良いということです。 Jはシーズン中に、自分で出来る限り頑張ってきたし、コーチにもアピールをしてきました。最後の試合でどの程度プレータイムが得られるかは分からないし、チームがどれだけやれるかも分かりません。しかし、Jはチームのメンバーとして出来ることを精一杯するだけです。それはチームの一員としてユニホームを着ているJの義務だと思うのです。今まではコーチとも激しい話し合いを続けてきたけど、それも、ももう終わりです。なぜならJもコーチも、この時を目指してシーズン中に学び、成長してきたわけですから。最後はそれを出し切れるかどうかだけの事だと思います。次のステップをより確実なものとするためにも、最後は悔いを残さないように自分を出し切りたいと思います。

 そうそう、今年は森本文化風呂の仲間達も、厳しい関東ブロックの予選を勝ち抜いて、日本選手権の出場権を獲得してくれました。Jはアメリカにいる関係で、予選には出られなかったのですが、同じチームメイトとして本当に嬉しかったです。もちろん、本戦までには帰国してチームに合流するつもりですが、Jがどのようにチームに対して関われるかは、今のところ分かりません。しかし、ここでも同じことで、自分の出来ることは精一杯やろうと思うし、自分らしく自分の仕事をこなせればと思います。あとは、チームの一員として義務をこなしつつも、自分のバスケットを楽しむだけです。Jがコートに出た時は、入らなくてもシュートは積極的に狙うよ!(笑)


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2003年03月10日

初観戦のNLL(ラクロス) 〜感動と興奮!そして、少しの後悔・・・

 まず、ラクロスというスポーツを知っている人が、日本にどれくらいいるのかな? 多分、殆どの人は「名前くらい聞いたことがある」とか、「棒の先にカゴをつけて走り回るスポーツ」くらいの認識なのでは? 実はJもその程度のことしか知らず、つまらないマイナーのスポーツというイメージでした。 ところで、何でサブタイトルに「少しの後悔・・・」と書いたかを説明すると、Jがまだ公務員時代の通勤途中に、良く大学のラクロスチームが朝練をしている光景を見かけたのです。 その頃、少しだけラクロスに興味を持ったので、そのうちどこかで試合を観てみたいと思っていたのですが、結局観る機会を作れずに時は流れてしまったのです。 そして、これが「少しの後悔」につながるのです。

 実は、ラクロスのプロリーグって今年に始まったことでは無いらしいのです。 でもJはアラバマ生活時代、全くその存在を知りませんでした。 そして、デンバーに着た当初、プロのチームが存在すること知って驚いたのです。何せ超マイナースポーツと言う認識が強かったもので。 でも、公務員時代を思い出しつつ、とても興味が湧いたので、ずっと観戦に行きたいと思っていたのでした。 しかし、ラクロスはレギュラーシーズン16試合しかなく、ホームゲームも少ないので、なかなか予定が合わずにいたのです。しかし、とうとう3月1日に初観戦を果たせたのです! 当日は雪が降る中、ルームメイトのジェーミーと、その友達のジョニーと3人で観戦に行きました。

 ラクロスに関する驚きは、チケットカウンターでもありました。 なんと、チケットを求める人々の行列で大混雑をしていたのです。Jが普段ナゲッツの試合を観戦する時には、殆ど並ぶこともないし、窓口が全て開いていることすら少ないのです。 この瞬間からワクワクする気持ちがどんどん大きくなっていきました。 また、チケットの値段も、他のメジャースポーツでは、選手のサラリー高騰と共に、大変高額なものになっていますが、ラクロスは5ドル〜35ドルと比較的安いのです。これもラクロスの大きな魅力になっているのだと思います。 ちなみにJ達は、今回も一番安い5ドルのチケットを購入しました。

 アリーナに入って自分の席に向かう途中、何度となく大きなドヨメキや歓声を聞くことができたのですが、この歓声の大きさも半端じゃないのです。ナゲッツのゲームを10試合近く観戦しているJですが、そこでは聞いたことが無いほどの大音量でした。観覧席について驚いたのも、やっぱり観客の多さでした。多分9割以上は埋まっていたと思うので、ほぼ満員といって良いでしょう。 しかも、マンモスは今年初めてリーグに参加する新チームにも関わらず、チームの成績も良いことが人気に拍車を掛けているみたい。 そして、試合の内容も激しくて迫力があるし、ルールなんか全然知らないJが観ていても面白くて見入って今いました。 




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ラクロスの試合風景
(観客は3階席の上までビッシリ入っていました)



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観客席で記念撮影
(左からJ、ジョニー、ジェームス)




 更に、試合を盛り上げているのは、場内のアナウンスや音楽、マンモスダンサー?(チアリーディング)に、何故か特設プールに水着姿のおねえさんたちもいました。他にも色々なショーなどがあって大いに盛り上がっていました。 Jが一番気に入ったのは、相手の選手が反則をしてペナルティーボックス行きになった時に起こる儀式?で、 会場の皆が声を合わせて「GET・IN・THE・BOX!!」(ペナルティーボックスに入れ!)という掛け声です。 もちろんJも大声で叫んで、その儀式に参加しました。チョー笑えたかな。 そして、ハーフタイムショーは笑いすぎて涙が出てきたし、お腹が痛くなりました。 今回のショーでは、コロラドのスポーツチームのマスコット対ライバルチームのマスコットで、ラクロスの試合が行われたのですが、ライバルチームには、これまた何故かスモーレスラー(相撲取り)もいて、みんなで乱闘を交えてのゲームでした。 これが笑えるのなんのって、会場は爆笑の渦で、普通ならトイレなど席を離れる観客も、かなりの人が残ってハーフタイムショーを楽しんでいました。



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ハーフタイムショーの風景
(ゴールの横で相撲取りとマスコットが乱闘している)



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コートサイドには何故か
特設プールと水着のおねえさんが応援



 試合を観ていての感想は、ラクロスには面白い要素がたくさん詰まっているということです。 例えばスピード感もあるし、身体の接触も多いので、とてもエキサイティングです。 しかも、適度に得点が入るのでやっぱり興奮します。 アメリカではサーカーの人気が今一つですが、その理由に得点が入らないことを指摘する人は少なくないのです。 また、スティック裁きにもテクニックがあって、バックシュートやビハインドパスなど、観ている人を楽しませてくれます。 この試合では18対12でマンモスが勝利したのですが、マンモスが得点する度に大きな歓声が起こり、逆に相手が得点するとシーンと、静まり返る観客の一体感も非常に良かったです。 何はともあれ5ドルでこれだけ楽しめる娯楽は、他にそう無いんじゃないかなーって思えるほど満足でした。

 ところで、余談があるのですが、この試合が終わった後、エレベーターを待つ間にジェーミーが係員のおばさんと話をしていました。彼女曰く、「ラクロスの試合では警備が厳しくないので、ロッカールームに行って、選手と話したり写真を撮ったりすることができる」というのです。 早速1階についてから「関係者以外立ち入り禁止」のドアを通ってロッカールームへ行きました。 途中たくさんの関係者らしき人とすれ違いましたが、誰一人注意してくる人はいませんでした。 しかし、さすがにロッカールームに入ろうとしたら「ここで待ちなさい」と注意を受けました・・。 しかし、3人とも選手には興味がなかったので、その後アリーナの裏方を回って散策しました。もちろんコートにも出て、コートから観客席を見回したりもしました。 久々に大きなアリーナのコートに立つことが出来て感動でした。 しかも、 帰り際には、なんとマンモスダンサーのお姉さん達と遭遇したのです。 で、話し掛けてみると、とてもフレンドリーで「これからみんなで飲みに行くけど、良ければ一緒に来ない?」とお誘いを受けたのです。 しかも「後から数人の選手も来る予定」とのこと。もちろん3人は大喜びしたのですが、外に出たら大雪だし11時を過ぎていたので、何となく面倒くさくなって帰ってきてしまいました(笑)

 最後に、冒頭で書いた「少しの後悔」とは、こんなに素晴らしいスポーツがあり、しかも興味を持っていたにも関わらず、5年間も知らずに過ごしてきた自分に対する気持ちです。 Jはこれからも色んな事を知ろうと思うし、「知って対処する」(著書にも書いた言葉)と言うことを忘れてはいけないという教訓にもなりました。 まだまだ世の中には面白いことがたくさんあるはずです。 さあ、みんなもそれを探して見ましょう!! で、見つけたらJにも報告をお願いします。 可能なものはトライしたいので。

ラクロスに興味を持った方は、下記のサイトに飛んでみてください。

The National Lacrosse League http://www.nll.com/ 

The Colorado Mammoth  http://www.coloradomammoth.com/



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