2003年02月27日

ラスベガス遠征 〜やっぱ基本はGIVE&TAKEですかね

 今回も予告どおり、ラスベガス遠征の模様を書いてみたいと思います。ラスベガスの遠征も、毎年恒例となっている感じです。昨シーズンと2シーズン前は、レイクショアのチームで来たのですが、何でもベガスではシーズンに5,6回ものトーナメントを開催しているそうです。 しかも、ベガス(ネバダ州)には車椅子バスケのチームが無い(正確にはあるがD3のチームで、殆ど活動していない)にも関わらず、トーナメントなどのイベント事には熱心です。きっと、ギャンブルの街らしく、行政の組織も経済的に裕福なのでしょう。

今回は土・日が試合だったのですが、金曜日の午前中にコーチのエリックとタズ、Jの3人で゙デンバーを発ちました。殆どいつもこの3人が先発隊となるのは理由があります。エリックはピザ屋のオーナーで、仕事は店員に任せて自分の時間が作れる。タズは無職でやっぱり自由の身。そして、Jもアメリカではバスケが目的の自由人。ということで、いつも3人は早めに出発して、くつろいだり観光をする時間が作れるのです。 また、前の体験記(2月4日更新)にも書いたのですが、基本的にアメリカのチームは個人の意見を尊重するので、誰を連れて行こうが、いつ出発して帰ろうが個人の自由です。 選手はチーム御用達の旅行代理店に直接リクエストを入れれば、それに沿った旅行を手配してくれるのです。 もちろん、最低限の集合時間や連絡の義務はありますよ。

今回は、ちょっと飛行機の中でトラブルがありました。Jはトイレが近いので、いつも航空会社に「トイレに近い席」とリクエストを入れているのですが、今回は後ろのトイレに近い最後尾の席でした。 そして、案の定途中でトイレに行きたくなったのですが、なっ、なんと、このトイレが壊れていて使用できなかったのです。さすがにJも航空会社も、そこまでは予測できなかったのでした。 また、着陸態勢に入る少し前だったので「機内用車椅子を使用して、一番前まで行くのは時間的に無理」と言われてしまったのです! しかも、こんな時に限って満席だし窓側の席で隣の席には若くてきれいな女性が乗っているという最悪(本来なら最高なんですが・・)の状況! うー、助けてくれーー!(苦笑) まあ、それでも何とか切り抜けましたよ。 でも、どう切り抜けたかは秘密。

今回のホテルはダウンタウンの中心にある高級カジノホテルだったし、時間的にも少し余裕があったので街中を散策したり、ちょっとだけギャンブルにも兆戦したりと、観光気分を味わうことができました。また、家族を連れてきているチームメイトも数人いたので、各自ベガスでの時間を有意義に過ごしていたのではないでしょうか。(詳しくは2月14〜16日の“独り言”を参照)


 バスケの方は、当初4チームが来ることになっていたのですが、ゴールデンステートがドタキャンをしてくれたお陰で、3チームとなってしまったので、各チームと2試合ずつを行うリーグ戦方式に変更となりました。また、大阪カップに出場のため、ミシガンはパットが不在だったこともあり、イマイチ盛り上がりには欠けたようにも思いますが、我がチームの目的はいつも同じで、チームのシステムを確認したり、チームとしての成長を目指しているので力は抜けません。

初日の土曜日はダラス、ミシガン、ダラスと3試合をこなしました。特筆したいのは1試合目のダラス戦です。ダラスはベストメンバーだったのですが、いつものように大差を離される展開には持ち込まれませんでした。理由は幾つかありますが、まず、エースのポール・ショルティを徹底的にマークして簡単にシュートを打たせなかったこと。次にスティーブ・ウエルチの逆速攻を許さないよう、OFの時は常にローテーションでトップ(セーフティー)を残すシステムがしっかり取れたこと。3つ目に、Jをはじめデカイ組が相手のセンター陣を、ファール覚悟のハードDFで手こずらせたことです。また、逆にOFでは相手からのシューター封じを交わすために考えられた、ダブルピックを使ったOFシステムを試して、機能したことが多くの得点チャンスを作れたように思います。この試合を振り返っても、チームは確実にレベルアップをしているのですが、覚えることが多くて混乱することもシバシバで、Jはベンチとコートを何度も行ったり来たりしながら、コーチのエリックとプレーの確認をしました。 結果は117−112と、接戦を演じたものの敗退。


ミシガン戦もパットがいないことで勝敗は見えていたのですが、もちろんチームは課題をこなすことに全力を注ぎました。結果、ミシガン戦2試合は勝利を収めつつ、みんなもきっちり仕事がこなせたのではないかと思います。しかし、ダラス戦の2試合目は、OFのローテーションが機能しなくて、ウエルチに逆速攻をなんと14本も与えてしまい、その全て決められる始末でした。また、いつものように、疲れから年配組みのシュートが外れ始めて離される展開に・・・・・・。結局101−84での敗退でした。

ところで何度も書きますが、選手はコーチからは常に全力を尽くしてプレーすることを約束させられています。 Jもフル出場することはないですが、プレーしている時は全力プレーを意識し、ベンチでは応援や観て学ぶことに集中するよう心掛けています。しかしプレー中に、もし力を抜いていると見られれば、コーチは選手を即ベンチに引き戻します。 なぜなら、楽に勝てるチームに勝つためのプレーをしているからでは無いからです。 勝てないチームに、どうしたら勝てるのか??を考えながら実践でシステムを試したり練習しているという感じかな・・・・。 また、チームはこの遠征にも高い授業料(遠征費)を支払っています。 その代わりに選手は精一杯プレーする義務が生じるのだと思います。 これはGIVE&TAKEというやつです。

ちょっと話がずれますが、Jがオーエックスに入社する際も「お前は会社に対して何が出来るのか?」と問われました。もちろん自分なりの考えは持っているので答えましたよ。  また、いつも上司から言われているのですが、「会社にとって必要な人間になって欲しいし、もちろん不要ならクビだ!」と。(笑) でもこの感覚が非常に好きなんですよ。 だからこの会社にお世話になって良かったと思うし、とても素晴らしい会社だとも思うのです。 働いている人たちも、みんな会社や仕事が好きで働いているっていう感じがいい。 だからJも仕事(バスケや様々な活動も含めて)で、会社の役に立てる人間になりたいと考えているし、会社もそれを認めてくれて、Jを必要な人間だと評価してもらえるなら最高です。 そして、これもまたGIVE&TAKEの関係に値するのではないでしょうか? バスケのチームにしても、会社にしても同様で、自分がいても変わらないとか、不要な場所にいたくはないのです。 もちろん、アメリカでの生活は常にこういう意識があるように思います。 Jは「必要とされる場所(もちろん自分も望んで)にいて、必要とされる目的(もちろん自分がやりたいこと)を果たしたい」のです。 それが、「自分らしく、自分のために、自分の人生を生きる」ということなのかも知れません。 

そう考えると、自分で手に入れた環境は、今のところ全て「自分らしく・・・・」に当てはまっているかな。 良く友達やJ‘s pageにメールをくれる方々に「自分の好きなことだけ出来てうらやましい!」と言われますが、一応信念を持って活動をしていることはご理解ください。もちろん、ラッキーな人間であることは否定できませんが(笑) 素晴らしい会社やチーム、仲間達に巡り合え、素晴らしい環境の中で人生を送れていることに感謝。

最後に「ベガス遠征の報告は?」と、Jの怠け状態にメールで活を入れてくれたY・Yさんと、Rさんありがとうございます。 そして、体験記の報告が遅くなったことをお詫び申し上げます! また、これからもご愛顧のほどよろしく! でもチョト本音で、キビシーーー!(笑)

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2003年02月16日

レキシントン遠征〜死闘のサバイバルゲーム?

 今日は予告どおりブルーグラス・インヴィテーショナルinレキシントンの模様を書いてみたいと思います。それにしても早いもので、この大会へ参加したのは今年で3回目です。また、昨年の参加報告も、この「体験記」で書いているのですよ。 去年の体験記を自分で読み返してみても、あー、思い出すなー。当時、大学チームの活躍に大きな感動とショックを受けたこと。 そして、全日本辞退や選手生命のことで、毎日悩みに悩んでいたあの頃のことを・・・・(苦笑)

今回は木曜日の昼からデンバーを発ったのですが、当初はジムで軽くシューティングをしてから空港に向かう予定でした。しかし、今回もまたエンスト・・・・。なんで普段は問題無いのに、大事な時に限って問題が起こるのか?と、本当に不思議です。でも今回は遅れずに済みましたよ。というのも、早く家を出る予定にしていたことや、ルームメイトのガールフレンドが仕事休みだったので、彼女に頼んで空港まで送ってもらうことができたからです。しかも、遠征の間に車を動くようにしてもらえたので、デンバーに帰ってからも不便がなく助かりました。 やはり持つべきものは友達です。

今回はシンシナティ経由で約7時間の旅でしたが、この辺はもう慣れた気がします。そして、ホテルについたのは夜の9時前(時差で2時間進んでいるため)でした。もちろん、ホテルに選手が集まった時点でチームミーティング(笑) 前回の試合のビデオを観ながら話し合いをしたのだけど、結局終わったのは深夜0時過ぎ。 そして、ミーティングが終わってすぐ廊下に出ると、そこには到着したばかりの安直樹が立っておりました。グッドタイミングに驚きましたが、彼と約3週間ぶりの再会を果たしたのです。

初戦(金曜日)の相手はバーミンガムで30点差近くつけて勝利した、ウィスコンシン大学のチームでしたが、今回は彼らのスピードとスタミナの前に68−86で気力負けと言う感じでした。 この試合Jはまずまずの調子で、前半は出場することもできたし、20点以上のリードをしていたにも関わらず、後半はあまり出番を貰えず逆転負けでした。 何で?という、もどかしい気持ちを押えつつも、Jは応援を頑張りましたよ。 でも、他の選手が調子悪い時や疲れている時でも、選手交代をしないコーチには理解出来ないし、少しシコリが残ったかな・・・・。

その日の晩は3時間にも及ぶミーティングがあったのですが、正直言って疲れていました。ミーティングが始まったのが夜の8時半からで終わったのが11時半・・・。 しかし、チームは明日以降の対策やチームを入念に話し合っていました。Jも最初は頑張って聞いていたのですが、途中で白熱して会話のスピードも速くなり、スラングらしき言葉の使い回しも増えて、良く理解ができなかったので、しばらくボーーとしていました。 でもこれが後で大事件につながるのです。

翌日の敗者戦はテネシーとでした。久々のスタメンン出場でハッスルしました。しかも、前日のミーティングでコーチから貰った課題も頭に入っていたし、いつもの通り走りまくってDFで貢献して、すぐさま25点近くのリードに。 もう自分では絶好調と言う感じでプレーしていたのですが、1Qの残り1分くらいでベンチに戻されてからは、結局最後までプレータイムを貰えませんでした。もちろんJは頑張ってチームを応援しましたよ。でもベンチで試合を観ていると、疲れからか?数選手の調子がガタッと落ちて、ミスも増える一方でした。また、相手チームのシュートも決まりだして、昨日と同様の展開になり3Qで2点差まで詰め寄られたのです。それでもコーチからは声が掛かりませんでした。結果は98−93で何とか勝利でしたが、正直言って、さすがにJも呆れました。

もう、この件でJはコーチとの信頼関係がズタズタに切り裂かれた感じですよ。 まず、試合後にマークと2人で話し合いをしましたが、マークもJの意見に100%同意をしてくれました。そして、Jは日本へ帰る覚悟を決めてコーチと話し合いました。しかし、コーチはクールな顔をして「昨日の話しを全く理解していないから使えなかった」と。Jはその言葉に驚いたのですが、色々と話し合った結果、Jが昨日のミーティングでボーっとしている間に話し合われたことや、難しくて理解できなかった部分を確認しなかったことが理由で、誤って理解していたことが発覚したのです。 コーチの「成りゆきや、結果オーライで大量リードして勝ったとしても、あとにつながらないし意味が無い!」という言葉が、Jの心にズシンと響きました。そして、この時ばかりは凹みましたよ・・・・。また、改めてチームプレーの大切さと難しさを実感したのです。

敗者戦2回戦の相手は、勝ち上がり2回戦でテキサス州立大学に敗退し、敗者戦にまわってきたウィスコンシン大学でした。我がデンバーは、昨日のリベンジとばかりに盛り上がりました。 今度こそはJもしっかりと自分の仕事をこなし、序盤から大量リードを奪いました。Jはシュートもマズマズでしたが、何よりもDFで相手と走り合いをして、ハードアタックを仕掛けました。学生なんかに負けてられるか!って。(笑) その結果、相手のセンターはシュートを打てずじまいで、かなりイライラしていました。 でも、その仕返し?に、トップスピードで走っているJにブロッキングのファールをかましてくれたお陰で、Jは吹っ飛び肘を強打、膝から流血という怪我に見舞われ、あえなくベンチへと下がりました。 しかも、リヤホイルの車軸も曲がってしまい、その交換にも手間取ったのでした。 あー、調子も良かったし、チームもいい感じなのに!!! 結局96−68で圧勝でした。

次の試合は驚きだったのですが、ミルウォーキーがミシガン相手に2点差で敗退をして、敗者戦に回ってきたのです。Jはコーチに「膝も肘も大丈夫だから!」とアピールをした甲斐があってか、スタメンでの出場となったのですが、肘をかばって走れていないと見られたようで、早々にベンチへ戻され、アイシングをしながら応援に回りました。ミルウォーキー戦は結構いい試合をするのですが、いつも同じような展開で最後に撃ち負けるような感じです。相手には素晴らしいシューターが4人もいるので、押えきれずに最後に離される展開です。  それにしても、何も問題がない時には怪我をしてプレーが出来ない。絶好調でプレーできる状態の時には、何かしらの問題が起こってプレーができない・・・・・・。 くそーーーー、とても不発に終わっている感じで、なんとも言えないフラストレーションが溜まっている今日この頃。

この大会で印象に残ったことは、各試合ともに接戦が多かったことです。 D1は敗者戦も含めると全部で15試合行われたのですが、Jが把握しているだけでも7試合が10点差未満の接戦でした。 また、10点以上離れた試合でも、得点差以上に試合の内容は濃いように思いました。(観ていても飽きないし、勉強になる内容というか・・) しかも、常に同じチームが勝利をしていると言うわけではなく、接戦の末に勝ったり負けたりの連続なのです。この辺は日本に無い面白さだと思います。 今年のファイナルはどこのチームが進むか?本当に検討がつかなくなってきた感じです。 Jが頭一つ抜けていると思っていたダラスやミルウォーキーでさえ、アチコチのチームに敗れているのですから。

最後に、特筆したいのが大学のチームの成長です。彼らは一戦一戦強くなっていることが、観ていて分かります。 多分“ヒヨコ”の時分から、素晴らしい環境(良き指導者や育成プログラムの元)で、思う存分バスケができるからでしょうね。 また、常にナショナルクラスの選手と試合や練習ができる環境も羨まし過ぎます! それから、昨年の夏に福島で開催した「車いすバスケキャンプ」に、講師として来日してくれたイリノイ大学のマイク氏、ダン氏(共にコーチ)と、ジェフとトニー(共に選手)にも再会することができたのですが、あの時Jがまだまだヒヨコだな!と、思っていたジェフ選手でさえ、現在はイリノイ大学の中心選手として、バリバリにプレー&活躍していました。 Jは彼らの試合を観ながら、何度もため息が出てしまいました。



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イリノイ大学vs G・ステート戦(一昨年の全米チャンピオンを相手に、イリノイ大学チームは圧勝)



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イリノイ大学のコーチ、マイク・フログリー氏(彼はいつものように爪を噛みながら(癖です)試合を見守っていました)




第25回 ブルーグラス・インヴィテーショナル記念大会の最終結果

優勝ミルウォーキー・バックス
敗者戦からの勝ち上がりだが、実力どおり優勝

2位ミシガン・サンダーバード
パットと共に高校生選手のマシューが大活躍

3位テキサス州立大学
Jより高い選手が一人もいないチームだけど強い

4位デンバー・ナゲッツ
我がチームは色々と課題が残る結果でした

5位イリノイ州立大学
運が悪く?2度もミルウォーと対戦して敗退

6位ウィスコンシン大学
成長という意味では一番のチームかも?

7位ミュージックシティ・ライトニング
年配選手が多いためにスタミナ不足が欠点

8位ゴールデンステート・ウォーリアーズ
エース不在のため実力を発揮できず最下位

 次はベガス遠征のレポートかな。 うーーん、他にも書き溜めている重要な内容の「体験記」があるんだけど・・・・。でも、やっぱり今はタイムリーな話題から優先した方がいいと思うので、次はベガス遠征記にします。
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2003年02月04日

個人の意思を尊重するアメリカ 〜ベガス遠征は奥さん(彼女)同伴で!

 先月中旬からずっと体調が優れずにいたので、後輩の安直樹やユミちゃんとの再会を果たした、バーミンガム遠征の体験記を書きそびれてしまいました。 しかし、3週間も過ぎてしまい、今更書く気分にもなれなかったので、バーミンガムでの話しは、また次の機会ということで、今日はちょっとアメリカらしい話しを書いてみたいと思います。

 以前、日本で聞いた話しなのですが、日本のクラブチームでは、泊りがけの遠征に奥さんや彼女を同伴することは、禁止されているチームがあるということなのですが本当でしょうか? また、同伴するのは構わないけど、宿泊先の部屋割りは、夫婦でありながら選手は選手と、奥さんはマネージャーの女の子と宿泊しなければならないとか・・・・・・。 もし、これらの話しが本当ならば、きっとアメリカ人は驚くだろうし、「Why?」って聞いてくるに違いない。 

 ちょうどバーミンガム遠征が終わった頃(Jは熱で苦しんでいた頃)です。エディからメールが入ってきました。内容は「今度のベガス遠征に奥さんを同伴したい」というものでした。また、そのメールの後に、マネージャーのラリーからも「他にも奥さんや彼女を同伴したい人は、早めに連絡を入れて欲しい。また、試合の前や後にゆっくり観光したい人は、日程のリクエストも受け付けます」という内容のメールが入りました。まあ、Jには関係ない話しだったのですが、ちょっと興味があったので、デンバーに戻ってから数人の選手に話しを聞いたところ、何人かは奥さんや彼女を同伴するとのことでした。しかも、仕事の休みを取って試合の後は2人でゆっくり観光をしてくるという選手もいました。気になる費用ですが、以前は全てチーム持ちという時期もあったそうですが、現在は夫婦(カップル)のホテル代はチーム負担で、パートナーの飛行機代は個人負担ということでした。それにしても、選手の飛行機代は遠征に絡めてチーム負担となるので、費用的にはかなり節約できることになります。

 当然のことですが、選手はシーズン中ほとんどの週末をチーム練習や遠征に費やしています。しかし、中には妻帯者もいるわけで、家族の理解が無ければ活動できない選手もいます。もちろん、シーズンオフになればその分家族サービスも増えるのでしょうが、時にはシーズン中でも、家族と過ごすことを理由に練習や遠征をキャンセルする選手もいますが、これはアメリカだと認められる行為なのです。そうそう、ラリーも、昨年奥さんに子供が生まれたことを機に、チーム遠征には一切同行しなくなったスタッフの一人なのです。 日本の場合は家族を犠牲にしているという観念がありますが、アメリカではあくまでも家族や恋人があっての“バスケ”という観念が強いように思います。そして、チームも最大限に選手の意見を聞き入れ、選手のみならず家族や恋人への配慮もしてくれるのです。この辺は良く日米の大きな違いとして、テレビなどでも取り上げられる部分ですよね? 例えば奥さんの出産に立ち会うために、夫が仕事を休むことも普通のことだし、家族のために仕事を替えてしまう人も少なくないとか。 まあ、Jの場合はバスケを最優先したい人なので、それはそれで自分自身が納得していることなんですが・・・・(笑)

 例え話を一つ。 アメリカ代表で北九州ゴールドカップのMVPに輝いた、ポール・ショルティ選手は、3年前に学生結婚をしました。そして、彼はその次のシーズンを、「奥さんとゆっくり過ごしたい」という理由で全くプレーしませんでした。そして、地元で開催された大会などには、奥さんと一緒に観戦しにきたりして、その仲の良さを見せ付けていたのですが、周囲の反応はいたって祝福ムードでした。もちろんチームメイトから批判が出たなんて話しも、一切聞きませんでした。でも、日本で同じことをしようとすれば、絶対に批難・中傷の的になることは間違いないでしょう。特に強いチームであればあるほどに、中心選手であればあるほどに、そのような行動は許されないはずです。「お前の勝手な行動で、チームに迷惑がかかる!」などと言われるに違いない・・・・。事実、Jは似たような話しを聞いたことがあるし、実際に同じようなことを言われたこともあります。まあ、逆を返せばそれだけ自分を必要としてくれているのかも知れませんが、更に逆を返せば、チームは選手個人の考えを、どれだけ平等かつ理解してくれているのか疑問を感じます。 例えば戦力的に不要な選手が同じことを言った場合、彼らはその時に何と言うのだろうか? なんて考えてしまうのですが、そんなことを考えるのはJだけかな?? ここで、少し“利害関係”ということについて考えてみましょう。

 まず考えたいのは、自分は誰のためにバスケをしているのか?ということです。Jはあくまでも自分のためにバスケをしています。決してチームのためではありません。 勘違いしたらいけないのは、“チームプレイだから勝手な行動は許されない”という言葉の意味です。確かに自分が選んだチームでプレーすると決めた以上は、そのチームの目的を達成するために、強調性を持ってプレーする必要があることは理解します。バスケはチームスポーツだからです。でもそれ以前の話しとして、個人の考えやライフスタイルがあってもいいはずです。例えば、ある選手が移籍をしたいと言えば、チームは快く認めて欲しい。 例えそれがチームにとって、大きな痛手となったとしても、Jはそれを認めた上で移籍した選手を応援したい。 なぜなら選手にはチームを選ぶ権利があるからです。 とかく、勝負の世界は“勝った、負けたの世界”です。だから、チームはその利害関係に固執しがちです。 誰だって自分のチームの戦力ダウンを喜ぶ人はいないでしょう。 でもあえて書きます。 選手は、まず自分が一番気持ち良く、楽しくバスケが出来る環境を手に入れるべきです。また、チームや周囲はそれらを認めてあげるべきなのです。そして、それができるチームや環境には素晴らしい選手が集まり(育ち)、選手も自分のチームを大切にすると思うのですよ。 そういう意味では、Jが在籍している「森本文化風呂商会」は素晴らしいチームと言えます。なぜならキャプテンの哲さんは、時々意味不明で無理なことも言いますが、あくまでも選手の意思を尊重して物事の判断をしてくれるからです。そして、選手の移籍に関しても自チームの痛手を我慢してでも、選手を見送る姿勢を取っているからです。Jが思うに、こういう行動が取れる日本人はまだまだ少ないかな。まあ、今年に限って言えば、逆に素晴らしい選手が2人も入って来てくれたので、大いに喜んでいるとは思いますが(笑) だからこそ、Jは決して強くないし、完成されたチームでもないけど、風呂屋に移籍をしたし、未だに留まっていのだと思います。

  なんだか話しが反れてしまいましたが、何を言いたいかというと、“選手はチームの一員である前に、まず個人として尊重されるべき”だということです。そして、チームや周囲の環境も、そのように選手を扱って欲しいという事です。 遠征に家族を同伴しようが、家族のために活動を休止しようが、選手が移籍をしようが、その選手が決めたことならば、それでいいじゃないですか! そんなことを無理やり押さえ付けたり、否定したところで、良い結果は何一つ生まれてこないと思うのです。日本の選手はチームのことを本当に良く考えて行動していると思います。でも、チームはチームの利害関係を考え過ぎて、余りにも個人のことを考えていないように思うのです。 Jはチームの人間である前に、一人の個性ある人間(選手)でありたいと思っています。 また、その上で自分が決断したチームや環境でバスケをしたいと思っています。 それが森本文化風呂商会であり、デンバーナゲッツなのです。そして、それはチームにとっても自分にとっても良い結果をもたらしていると信じています! もちろん、世の中には「そんな考え方は認められない!」と、言う人がいるかも知れませんが、それはそれです。 これはあくまでもJの考えです。

※今回の体験記には、かなり手厳しい感想もありそうですが、望むところです(笑) みなさんの率直な意見を聞かせて下さい。

 今週末はケンタッキー州のレキシントン遠征です。今年で25回目の記念大会となる“ブルーグラス・インヴィテーショナル”は、D1チームが8チームにD2チームが12チームも参加するとても大きな大会です。レイクショアもD2でエントリーしているので、また安直樹に再会できるはずです。今度の体験記こそ、この遠征のレポートを書きたいと思います。
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