今回はまず、ちょっと面白い話しを紹介します。体験記の番外編とでも思って読んでください。それから、2話でミシガン遠征記をお伝えします。2本仕立てで長くなりますが、最後まで読んでください!
第1話 運命の物語
昨年の北九州ゴールドカップを観戦した方は、覚えている方も多いと思いますが、全米代表のウィリアム・ウォーラー選手(9番)が、予選の4試合目くらいから「日の丸一番」ハチマキを頭に巻いて試合に臨んでいました。実はあのハチマキ、Jが彼にプレゼントしたものなのです。 そして、あのハチマキに関する面白し出来事(出会い)があったのです。
北九州ゴールドカップの全米代表ウィル選手です。
例のハチマキは、Jが予選3試合目のオージー戦を観戦した後、久々にウィルとの再会を果たした時に、彼とアメリカチームを応援する意味で渡した物なのです。そして、「これは“ナンバーワン”という意味のヘアーバンドだから、きっとウィルやアメリカチームに幸運を引き込んでくれるよ!」と、激励したのです。 しかし、その時は彼が本当に試合で使用するとは夢にも思っていませんでした・・・・。
しばらくして、試合会場で再びウィルとすれ違った時に、彼がJに向かって質問をしてきました。「もし、俺(アメリカ人)が、このハチマキをして試合に出たら、日本の人は怒ったり不快な気持ちになるか?」と。 そこでJは「そんなことは無いと思うし、問題ないよ」と、答えたのです。すると、彼は確か次の試合から、本当にハチマキをしてプレーをしていたのです。 これにはJも驚いたし、思わず笑ってしまいました。(笑)
その後は皆さんも知ってのとおり、決勝リーグでアメリカは宿敵のカナダを下し、決勝でも予選で敗退したイギリスを下して優勝を果たしたのです。もちろん、優勝したのは、彼らの実力に他ならないのですが、決勝戦終了後に、ウィルとハグをしながら勝利を称えた時、「やっぱり、ハチマキのお陰?」と聞いてみると、彼は「きっとそうだ、Jに感謝しているよ!」と、笑顔で返してくれたのでした。
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そして、時は流れ・・・ 2003年1月1日、念願の「J’s Page」が公開したのですが、
以下はメールのやりとりを掲載(抜粋)
<1月2日 Yさんからのメール>
今日 掲示板からHPを知り遊びにきました。
はじめまして・・・私はごくごく普通の主婦です。
去年の夏 『Gold Cup』にはまって毎日見に行ってました。
車椅子バスケットボールの事はそれまで全然知らなかったけど
はじめて見た時は すっごく・・すっごく感動しました。
ウィルと友達なんですねー♪ うらやましいー
私の息子(9歳)はウィルの大ファンだよー私も・・・
もしHPとか知ってたら教えてほしいです。
<1月3日 Jの返事>
はじめまして、こんにちは!
そして、メールありがとうございました。
ウィルとは4,5年前から友人していますが、とてもフレンドリーで
面白い奴です。そう「日の丸一番」ハチマキもJがあげたんですよ。
ところで、彼のHPは無いと思うのですが、来週末にミシガン遠征で
彼に会うので、彼に了解を得た上で、メルアドをお教えしましょうか?
頑張って英語でファンレターを書いてみますか!?
<1月4日 Yさんからのメール>
今 すっごく運命を感じています。
何故なら・・・『日の丸一番』のハチマキは決勝戦の後
私はウィルからもらいました。
試合が終わって私達親子が『ウィル!一番、一番』『No1 No1』って
叫んでいたら あなたにハチマキあげるね!っ感じのジェスチャーで私に
なげてくれました。 それですぐにサインを書いてもらったんですよー!
すごくうれしかったんだけど・・・よーく考えたらこんなおもみのあるもを
私なんかがもらってもよかっのかなーって思っていたんです。
Jがウィルにあげたんですねー!私が持ってていいの?
メルアドですが・・是非お願いします。きゃー♪
めちゃめちゃがんばって書いてみます。
よろしくお願いします。
そして、この後もYさんと何度かメール交換をしたのですが、あのハチマキはY家の家宝として大切に保管していただけるとの連絡をいただきました。また、Yさん一家はゴールドカップがきっかけで車椅子バスケファンになり、「これからも車椅子バスケのことを勉強したり、活動に注目していきたい」とのことでした。 また、こうした一般のファンが増えていくことは非常に嬉しいし、喜ばしいことですので、Jもこれからもたくさんの車椅子バスケファンを作れるように、様々な活動を展開していきたいと思いました。
そうそう、先週末のミシガン遠征でウィルと会った時に、この話を彼にしたところ、彼は「へーーー!」と笑っておりました。そして、Yさんにメルアドを教える件も、彼から快く了解を得ることができたのです。きっと今頃Yさん一家は辞書でも引きながら、頑張ってウィルにファンメールを書いていることでしょう。それにしても、とんだハチマキにまつわる運命の物語でした。(笑) それとYさん、Jの応援もよろしくお願いします!HPとか
彼は普段ミルウォーキーバックスでプレーをしています。
「ファンサービス版を撮りたい」とリクエストしたら、上半身裸になりました。「この写真は日本で高く売れる?」とか言ってました(笑)
第2話 ミシガン遠征
先週末のミシガン遠征も本当に色々なことがありました・・・。 まず、金曜日の朝、空港に向うため車のエンジンを掛けようと思ったら、バッテリーが上がっていて掛からない。 しかも、最近は時間ギリギリに出発しているので、この瞬間にみんなと同じ飛行機には乗れないことが決定してしまったのです。 とりあえず、コーチの携帯に電話をして遅れることを伝えたのですが、彼曰く、「今回はデトロイト空港から1時間も離れた場所なので、空港からの無料シャトルバスもないよ」とのこ・・・。Jはタクシーでホテルまで行くと言ったのですが、「これは自分のミスだから、きっと自費だろうし高くつきそうだなー」などと考えながら、4時間遅れで一人飛行に乗ったのでした。
デトロイト空港について荷物を取りに行った時、遠くの方から「J!」という声が聞こえたのです。まさか自分とは思わないので、最初はシカトしたのですが、更に大きな声で「J!」との声が聞こえ、振り向くとコーチのエリックが立っていました。Jは思わず日本語で「あれ、なんでー?」と言ってしまったのですが、彼らに聞いてみると、「デトロイトに着いてからレンタカーの手続きや、レストランで夕食を取っていたら、この時間になったので、ついでにJを待っていた」とのことでした。 でもそれはJを気使っての嘘だということが、すぐに分かりました。 彼らは最初から待っていてくれるつもりだったのです。 本当に素晴らしい仲間たちのお陰で助かりました。 でもホテルまで向かう車中でエリックは「今夜の飲み代は全てJ持ちだぞ!」と言っていました。(笑) そして、実際にホテルのバーで「おごるよ!」と彼に言ったら、笑いながら「あれはジョークだし、俺達はチームメイトを待っていただけだよ!」と言ってくれたのです。 本当に感謝でした。
翌日の試合もとんだことになりました。 と言うのも、今回はシューターのタズが私的な事情により不参加だったのですが、当日1試合目が始まった途端、もう一人のシューターであるマークがお腹を壊して(脊損特有の症状かな?)抜けてしまい、シューター不在のチームで試合は進められたのです。 しかも、実はJもお腹の調子が悪く、あまり動けない状態だったのです。 そして、他に代えも居ない状態だったので、そんなことも言えずにプレーを続けたのです。 いつも接戦を演じるミシガン相手に、この状態ではどうにもならず、一時は15点近くリードされる展開に苦しみました。そして、Jはハーフタイムにトイレに駆け込み無事スッキリしたのですが、マークは依然コートには戻ってきませんでした。
それでもみんなが踏ん張って3Q終了時には6点差まで追い上げ、4Q途中でマークが戻ってきてから残り1分を切った時に、何とか同点まで追いついて、今シーズン初の延長戦へと突入しました。そして、一進一退の展開が続いたのですが、最後は残り数秒でマークのミドルシュートが決まり、82対80で逆転勝利となったのです。ミシガンは地元でたくさんの観客もいたので、大いに盛り上がりましたが、これで今期の対ミシガン戦は5連勝となりました。ただし、Jは自己管理に課題を残す結果となりました。
次の試合は、今期初の顔合わせとなったミルウォーキー戦でした。
この試合は久々にスタメンで出場したんですが、シュートチャンスこそ少なかったけど、DFやOFのバックピックやスクリーナーとして、かなり貢献できていたので結構充実していました。また、他の選手の調子も良かったので、前半はリードをする展開でした。 しかし、ハーフ以降、Jはなぜかベンチに釘付けの状態で出番がありませんでした。 しかも、逆転されて得点差は開いていく一方。 また、エディやボブを起用しているところを見ると、この試合は捨てているかのように思えたのです。 かなり納得が行かなかったし、他の選手も非常にストレスを感じていているようでした。 Jは「明日もまたミルウォーキーとできるだろうし・・・・。」と思って、何も言わず我慢したのです。結局試合は65対78で敗退したのです。
しかし、そこからが大変だった。早速チームミーティングが始まったのですが、みんな凄い勢いで討論が始まったのです。 正直に言うとうちのミーティングはいつもかなりエキサイトするのです。 Jの意見としては、「コーチの起用方法には納得いっていないが、コーチの決断には従うし、コート上ではベストをつくす」と伝えました。 また、戦略的に疑問を感じる部分を2点ほど伝えたのですが、コーチや他の選手も同意し、Jの希望を聞き入れてくれたのです。 そして、今週末のアラバマ遠征で、空き時間に全員でセットプレーの確認やビデオを取り入れてのチームミーティングを開くことになったのです。やっぱり団体競技は非常に難しい部分が多いと感じます。特に上を目指していこうとすればするほどに・・。しかし、このチームは、いつも本当に色々な事を真剣に話すのです。そして、全員がきちんと消化できるように解決案や妥協点を見出すのです。また、答えが出たらすぐに行動へ移すという部分も非常に好きなところです。 だから、トラブルが起こっても後腐れなく、次のステップへとへと進めるのだと思います。このチームにいると、常に向上していることが実感できるのです。(前回の体験記で書いた“民主主義”の理想のようなチームです) だからこのチームは“最高!”なのです。
3試合目のテネシー戦は、ミーティングの効果があったのか? かなりみんな集中していた感じで、1Qで34対8と圧倒的な強さで勝利を決定付けました。 JもOFはイマイチでしたが、DFはかなり厳しく相手選手をチェックして切れさせました(笑) まあ、それでも個人ファールは2つと、チームでは一番少ない方でしたが(笑)
翌日のミルウォーキー戦(決勝)は、ダブルスコア以上での敗退でした。 まず、Jはベンチスタートだったのですが、ベンチから観ていても絶句です。というのも、うちの選手達は本当に調子が悪かったようで、シュートを落としまくっていたのです。 シュートの不得意なJが言うのですから相当なものです(笑) しかも、相手のシュート確立は70%以上で、1Q終了時に33対6という点差でした。 そこで、Jの出番も1Qの4分後くらいから巡ってきたのですが、不思議と気合が入り吠えまくりました。 そして、シュートはミドルもゴール下も安定して決まっていたので、珍しく良くボールも回ってきたのです。 後で思ったんですが、こんな状況は滅多にないから、もっともっとたくさん打っておけば良かったかなー? なんて(笑)
ミルウォーキー戦(さて、この中にアメリカ、カナダの代表選手が何人いるでしょうか?
答え 元代表やジュニア代表も入れると8人です)
ただ、ダブルスコアという結果ほど、落ち込むものでもないです。 というのも、悪かった部分はみんなが分かっているし、それに対する改善案も確認(または宿題に)したので。 多分コーチのエリックが、今頃宿題に追われて一番大変な思いをしていると思います。彼はいつも選手の疑問や意見をノートに取り、必ず次回までにその改善案や自分なりの考えをミーティングで答えているのです。 といのも、日本と違ってクラブチームでも選手から信頼の得られないコーチはクビになるからです。 エリックの前のコーチは、とてもいい人だったそうなのですが、4シーズンコーチをして結果が出なかったので、その能力を問われて昨シーズンの途中でエリックに交代になったそうです。 でも、今のところエリックは選手全員から信頼も得ているし、結果も出ていると言えます。 それにしても、試合後はホテルのチェックアウトを無理矢理延長して、上記の問題について2時間近いミーティングをしたのです。 まあ、その結果は今週末のバーミンガムで導き出されると信じたいです。
今週は古巣バーミンガムでの大会に出場してきます。また、後輩の安直樹もいるので1週間ほど滞在して一緒にトレーニングもしてくる予定です。 それらを元に「独り言」、「体験記」ともに更新しますので、乞うご期待!