2002年12月18日

サンホゼ遠征 〜結果報告と退部騒動?の結末

 今回のサンホゼ遠征(12月7,8日)は、順位を決めるトーナメント形式の大会ではなく、D1のリーグ戦という位置付けだったのですが、今期初めて上位チームが勢揃いすることもあり、どこのチームも非常に力が入っていたし、今期を占う上でも興味深い対戦ばかりでした。

 まず、第一試合は昨年デンバーが最終戦(決勝トーナメント2回戦)で敗退しているダラスでした。ダラスは4,5年前まで無敵のチームを築いていたのですが、ここ数年は選手の引退や移籍などが相次ぎ、優勝からは遠ざかっているチームです。しかし、今年はモンスターが2人加入していたのです。 最初に紹介しなければならないのは、今年の北九州ゴールドカップでMVPを獲得したポール・ショルティでしょう。彼はまだ20代前半という若さですが、技術、体力、メンタルのどれを取っても世界トップクラスの選手です。そして、2人目は3シーズンぶりのカムバックをしてきたレジー・コルトン選手。彼もまた過去に全米代表を経験している素晴らしいセンタープレーヤーなのですが、最近は個人的な事情でしばらくバスケからは離れていたらしいのです。 ダラスは経済力にものを言わせ? どの選手も有名でトップクラスの選手を揃えてシーズンに挑んできました。日本で言うなら、プロ野球の「読売ジャイアンツ」みたいなものかなー?

 さて、試合の内容ですがダラスは選手が全部で6人(2人欠場)しかいないにも関わらず、試合が始まると同時にオールコートプレスを引いてきました。しかも、ボールを保持する選手やキープレーヤーのタズやマークに対して厳しいチェックで、思うようにシュートすら打たしてもらえない状況でした。また、センター陣もダラスの方が高さで勝っているため、楽には打たせてもらえず、最初から苦戦を強いられました。しかし、それ以上に特筆したいのがダラスの得点力です。正直言って信じられないほどの高い確率で、インサイド、アウトサイドともに取られまくったのです。 インサイドをケアすればポールやラウーのロングシュート。アウトサイドをケアしてジャンプすると、ゴール下が手薄になりやられる。 しかも、全員が持久力とスピードを持ち合わせているので、ダラスを止める手段が無いのです。 



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北九州GCのMVP選手、ショルティ選手率いるダラス対ゴールデン・ステート戦


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得点ボードに注目(4Q残り9分あまりで得点が102点も入っています!)カナダのエース、パット(40番)率いるミシガン対テネシーは僅差でミシガンの勝利。



前回の敗戦を見事にリベンジし、対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込んだ。

 この試合でもポールは7本中5本の3Pを沈めるという安定感で、正確には確認していないけどトータル40点前後は取られました。また、ダラスのスピードに圧倒されてか、普段イージーシュートは確実に決めるマーク、タズ、ポールらがミスショットを重ねたのです。Jも彼らの、あんなに苦しそうな姿を見たのは初めてでした。結局タンノーバーなどのミスも連発して、終わってみれば100−68で惨敗。Jも20分くらいのプレータイムを得ましたが、2得点に終わりました・・・・。ただし、試合後冷静に自分達のプレーを振り返ってみれば、ダラスに対する苦手意識が大きく働いて自滅したようなもので、ミスを減らして全員がいつものプレーをすれば、もっといい試合ができるような気はしました。コーチのエリックも試合中に「なにを、そんなに怖がってプレーしているんだ!もっと自信を持ってプレーしろ!」と激を飛ばしていたけど、Jもベンチで観ていてそれは思いました。

  ところで、この試合にダラスのスティーブ・ウエルチ選手が居なかったのですが、ダラスの選手に確認すると「ゴールドカップを途中で放棄して帰ってきてしまった罰則として、NWBAよりシーズン最初の5試合は出場停止処分になった」そうなのです。また、彼はこれが2度目の“放棄事件“のため、さすがに今後の全米代表入りは難しいらしく、みんな口々に「多分、代表入りは2度とないだろう。自業自得だろうな」と言っておりました。まあ、自分でまいた種ということなのでしょうが、実際本人はどう思っているのか? 今度会ったら聞いてみようと思っています。

 初日はダラス、ミシガン、ナッシュビルとの3ゲームをこなしたのですが、ここでJは選手の起用について、コーチのエリックについて大きなストレス感じることになったのです。まず、その理由を説明する前に確認なのですが、デンバーは全部で9人体制を引いています。しかし、エディとボブは自からも力不足を認めており、ほとんど試合には出ない状況の選手なのです。しかし、彼らはチームの応援や雑用を買ってくれているし、ムードメーカーとして役割を果たしてくれているのです。後の判断は彼ら自身がすることなので、Jは良いとも悪いとも思いませんが。(もし、Jがチームにとってそのような立場の選手なら、チームを去るでしょう) ですから、実質は7人で回しているのですよ。前にも説明したとおり、大抵の場合選手は、自分がチームに不要な人間だと判断すれば、もっと活躍できるチームに移籍をしてしまうし、逆にチームも経済的な理由から不要な選手を抱えないため、通常D1チームは、どこも8人前後で構成されているのです。でもD1の試合はとてもタフだし48分間と長いので、デンバーの7人と言うのはギリギリの数なのですが、それゆえにやり甲斐もあるし、そこに自分の価値を見出せるはずなのですが・・・・・。

 Jが疑問に感じ始めたのは2試合目の後半からでした。センター陣のポールとロブ、フォワード陣のマークとタズ、この4人は常にメインとして出ているのでプレータイムは長いのですが、上でも書いたように1試合目でダラスのオールコートプレスに合い、タフなゲームの後に向かえた2試合目では、4人とも殆ど疲れきっていたのです。特にマークにいたってはエアボールを連発しており、精神的にも参っている様子が観ていても分かりました。その時ベンチにいたJとロスは顔を見合わせながら、歯がゆい思いでチームの苦戦を見ていたのです。しばらくするとコーチのエリックから声が掛かり「ポールと交代しろ」と。 もちろんポールも疲れているようでしたが、それでも一番安定して得点を重ねていたし、マークやタズよりは動けていたのです。 それでも、Jはセンター陣の控えになっているので、ポールとの交代は理解できたのですが、ガード陣の控えであるロスは殆ど出番がなかったです。また、Jも疲れきっている彼らよりは遥かに動けていたし、その間の得点差を広げていったにも関わらず、ほんの数分ですぐにベンチへ戻されたのでした。 その理由も聞かされなかったし、自分でも理解ができなかったのです。 結局試合は接戦の末に、2、3試合とも勝ったのですが、とても後味の悪い終わり方になりました。 

 Jはホテルに帰えるまでの間に色々と悩んだのですが、やはり自分が全てを費やして本気でやっているバスケのことで、疑問を感じながらも黙っていることは出来ませんでした。まずエリックに、選手起用の件でJが疑問に感じた部分を素直に伝えました。そして、「これは単に自分のプレータイムが欲しいから言う訳ではない」と前置きした上で、「もし、コーチやチームがJを必要としていなければ日本へ帰る」と伝えたのです。というのも、常にJはアメリカにいる目的を頭に入れて行動をしています。それは単に優勝チームでプレーするとか、D1の強いチームにいることを自慢したい訳でアメリカに居るのではないのですよ! もちろん強くてやり甲斐のあるチームでプレーはしたいけど、それ以前に自分が充実したバスケライフを送りたいし、色んな意味で楽しめて、アメリカでの経験が成長への糧となり、更には達成感や喜びを感じたいからなのです。でも、自分がチームに必要とされていない選手なら、何の意味も無いのです。 大差で勝っているか、負けている試合に、お情けでプレータイムを貰うだけの選手なら、日本に戻って仕事をしたり、Jを必要としてくれるチームでプレーした方がどれだけ充実した時間が過ごせることでしょう。

 エリックは言いました。「今年は3人の新しい選手が入ったけど、まだ試行錯誤の段階で選手を使い切れていないし・・・・・・」と、とても歯切れが悪い。 そこで、Jはすかさず言いました。「もし、スタメン選手の調子が良くて順調に試合が進んでいるなら、Jはベンチで待機するし、心からチームへの応援もできる。また、たった1分のプレータイムでも、それがチームやJにとって意味のある大事な仕事であれば喜んでプレーする。しかし、他の選手があんなに悪い状態でも使ってもらえない選手であるならば、それは不要と言われているのと同じではないか?」と。そして、「もし、Jの意見が正しならば、コーチはその事を認めてはっきり必要ないと言うべきでしょう?」と。エリックは少し考えた後に、「確かに自分の起用に過ちがあったと思う。しかし、今後もみんなと話し合いながらシーズン最後の大一番に向けて少しでも良い方向へ成長していきたい」そして、「俺もチームもJを必要としているので残って欲しい」と言ってくれたのです。

 その夜、チームディナーの場で、例のごとく話し合いが持たれたのですが、他の選手からも活発に意見が出されました。また、ロブは同じようなことを思っていたらしく、「俺も3試合目はかなりキツかったから、試合の後エリックに選手交代の必要性について、俺の意見も伝えたんだよ!」と。また、ロスもエリックとそのことで何やら長い会話をしていましたが、遠くに座っていたので何と言っていたのかはよく聞こえませんでした。 更に、違う課題や問題点についても論議が持たれ、実に3時間以上もレストランでの話し合いが続いたのです。みんなバスケの事に関しては真剣だし、自分なりの考えを持っているし、こうした話し合いの場ではそれらをしっかり伝えることができるところに感心する訳です。常にチームの全員が信頼関係を築くために、お互いの意見を交換し合うことを怠りません。なんて素晴らしいチームなのだろうか!!

  その後・・・、もちろん2日目のゴールデンステート戦にも接戦ながら勝利を収めました。しかも、昨日の反省会で話し合われた部分は即座に改善され、かなりチームの雰囲気も良かったし、選手の起用やオフェンス、ディフェンスの流れなども良かったのでした。デンバーはスター選手こそ居ませんが、個人の能力が一番大きく引き出せているチームじゃないかと自負しています。それにしても今シーズンのD1は接戦が多いし、同じチーム同士でも勝ったり負けたりの試合が続いているので、ダラスが頭一つ抜け出している以外は、大混戦と言う感じです。ちなみに、今シーズンは現時点でデンバーは11勝1敗(D2チームとの4試合を含む)と好調な滑り出しだしです。 

 翌日Jは例のチームメールで週末の一件について触れ、みんなと話し合いができ解決できたことや、みんなの気持ちに感謝することを伝えました。もちろん、最後までこのチームでプレーを続けたいという思いも書きました。まあ、後のことは想像がつくかと思いますが、これからのシーズンが益々楽しみになってきた次第です。



 最後に、試合結果と数日前に発刊されたスポーツン・スポークス誌によるD1のランキングと、現時点での実ランキン(デンバーナゲッツ選手案)をお伝えします。

 <今週末の結果>

結果
ゲーム1デンバー 68 VS ダラス   100
ゲーム2デンバー 73 VS ミシガン  66
ゲーム3デンバー 71 VS テネシー  63
ゲーム4デンバー 85 VS ゴールデンステート 78

<アメリカD1のランキング>

スポーツン・スポークス誌(11月末)
1、 ミルウォーキー・バックス
2、 ゴールデンステート・ウォーリアーズ
3、 ダラス・マーベリックス
4、 ミシガン・サンダーバード
5、 デンバー・ナゲッツ
6、 U of I(イリノイ州立大学)
7、 UTA(ケキサス州立大学アーリントン校)
8、 ミュージックシティー・ライトニング(テネシー)
9、 UWW(ウィスコンシン州立大学)


現時点の実順位(デンバーナゲッツ選手案)
1、 ダラス
2、 ミルウォーキー
3、 デンバー
4、 ミシガン
5、 ゴールデンステート
6、 U of I
7、 ミュージックシティー
8、 UWW
9、 UTA




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2002年12月01日

初体験の救急車 〜 高速道路で車が・・・・・

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旅に出る日の朝に撮影した愛車のチェロキー。この後すぐに事件は待っていた! 


 先日車でユタ州との州境にあるデュランゴという街を目指して旅にでました。 当日は雪が降っており車の温度計はマイナス7度を指していました。前日までは良い天気が続いており結構暖かかったのに、「さすが、雨男ぶりは健在だなー(雪ですが)」などと思いながら、旅へと出かけたのでした。しかし、高速道路上には、殆ど雪もなく結構走り易かったので、快調に飛ばして南下していきました。

 1時間ほど車を走らせた頃、ガスを補給するためにスタンドに寄りました。 そして、再び高速道路へ戻ったのですが、ふとメーター類に目を向けると、水温計が妙に高い位置を示していることに気づき、イヤーな予感がしていた矢先に「事件」は起こってしまったのです!! な、なんとボンネットから白い煙が立ち上がってくるではないですか!! しかも半端じゃない煙の量で、路上は霧が立ち込めているような状態になっていました。 何だか、とてもヤバそうな気配。 とりあえず車を路肩に止めてボンネットを開けると更に煙が増し、エンジンルームにはクーラント液が飛び散っている状態だったのです。 多分どこかからクーラントが漏れて、オーバーヒートを起こしていることは検討がつきましたが、どこから漏れているのかは検討がつきませんでした。

  ちょうどその日は日曜日で、車の修理工場などは休みのはず。デンバーから1時間も走らせてきた田舎の高速道路上で、どうしたら良いのか?? 途方に暮れていると、ある一台の車が止まってバックしてきたのです。それとほぼ同時に後方からサイレンを鳴らした消防車が近づいてきたのでした。「まさか!」と、思いましたが、その消防車はJの車の後ろで止まったのでした。 きっとJの車を見た通りすがりの誰かが通報したのでしょう。消防車からは4人のお兄さんたちが出てきて、車の症状を見てくれたのです。原因は、あるホースが裂けていたらしく、それさえ交換すれば直るとのことだったので、車の部品が売っている近くのホームセンターまで車を移動するよう進められ同意しました。また、話をしている最中には、もう一台の消防車と救急車まで到着して、とんだ大事になってしまったのです。これにはJも驚いて恐縮しっぱなしでした。

  ここで、日本とアメリカの大きな違いを発見&体験しました。日本で事故や故障を起こした場合、人身事故でない限り警察や消防は全く関与しないのですが、アメリカでは彼らが色々と相談に乗ってくれたり、助けてくれるのです。(これが普通か特別かは定かでないが・・・) まず、消防の人たちはJの車を移動するトラックを呼んでくれました。また、ホームセンターまでは救急車が運んでくれたのです。彼らは「この車にのれば暖が取れるよ」と言いながら、本当に親切な対応をしてくれました。この時Jは故障に遭い、寒い中で途方に暮れていたので、彼らの親切が本当に嬉しかった。 この場を借りて、「助けてくれたみなさん、本当にありがとうございます!!」  ただし、打たれ強いJはその後はすぐ立ち直り、「アメリカで救急車に乗れるとは思わなかった。しかも、怪我もしてないのにラッキー!」などと思いながら、車の中を見回していました。 それにしても、こんな事になったにも関わらず、彼らはJを店まで届けると、名前も聞かず調書も取らずに帰っていってしまったのです。この辺がアバウトなアメリカっぽいところだと思うわけです。

  ところで車はと言うと、雪降る寒い中で手にたくさんの傷を作りながら、ホース交換の修理をしたにも関わらず、違うところからも漏れていることが判明して、結局乗って帰ることはできませんでした。まあ、20万マイル(約32万キロ)も走っている車なので、アチコチにガタが来ていることは承知の上で購入したんですが、残念ながら今回はアラバマで買ったエクスプローラーのように、大当たりにはならなかったようです。 そして、友人であるジェーミーに電話して、お迎えをお願いすると、彼は快く迎えに来てくれたのでした。その後、ロードサービス会社からトラックを呼び、近くの修理工場まで車を移動したのですが、やはり日曜日で店は閉まっていたので、とりあえず手紙とキーをポストに入れて帰ってきたのでした。

  後日、修理屋から連絡が入り、「エンジンに亀裂が入っているので交換する必要がある」とのことでした。 そして、「修理費用は約4千ドル掛かる」とのことでした(涙) が、実は車を購入する際にオプション加入した自動車修理保険が、まだ保障期間中だったので中古車ディーラーへと相談すると、消耗品以外は保険でカバーできるとのこと。 まだ結末ははっきりしませんが、とりあえず最悪の事態にはならないで済みそうです。 まあ、かなりシンドイ思いもしましたが、「体験記ネタ」の貴重な経験もできたし、珍しくオプションの保険に加入していたお陰で、痛手は最小限に留まって良かったです。 なんだかアメリカ生活は本当に色々なハプニングに見舞われていますが、裏を返せばとても貴重で刺激的な生活が送れているということでしょうか。そして、やっぱり最後には「俺ってラッキーだなー」と、いう思いが浮かんでくるのでした(笑)

そうそう、今週末からカリフォルニア州サンホゼで、D1の上位6チームが勢揃いして試合があります。この遠征は今シーズンの順位を占う意味でも大事な試合となりそうです。そこで、次回はサンホゼ遠征の模様を書こうと思います。
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