2002年06月20日

2ヶ月ぶりにアメリカへ行ってきました (後編)〜ダラスでの3on3大会と来期のプレー先

 さて、後編はいよいよ旅の目的であったダラスでの大会と来期のプレー先選定に関わる交渉活動のレポートです。まず、今回参加した大会名は、“11th P.O.I.N.TExtravaganza”というイベントで、簡単に説明すると年に一度ダラスで開催される障害者関連のサマーイベントです。内容はバスケの3on3大会をはじめ、水上スキー、釣り、乗馬、射撃、ロッククライミング等の体験や福祉機器展示、各種ゲームなど盛りだくさんです。しかも、参加費を15ドル支払えば、全てのイベントに無料で参加・体験が出来るほか、会場となったダラスのバックマン レクリエーションセンターでは飲み物や食べ物も全て無料で振舞われていました。本当は神保も参加費15$を支払うのですが、「このイベントに参加するために、わざわざ日本から来たんだよ!」と言ったら無料にしてくれました。ちなみに安はスタッフに言われるまま15$の参加費を支払ったそうです。(笑) そして、そのイベントの一つとしてデビッド・カイリー主催の3on3の大会があったのです。また、この大会のオフィシャルスポンサーは、米国車椅子メーカーのクイッキー社でした。しかも、イベント全体のスポンサーにはアメリカン航空をはじめ数十社の企業がサポートしており、そのスポンサーからのスゴイ数の商品等が提供されていました。例えば航空券や旅行券、釣り道具に車椅子、賞金(お金)などがクジ引きや大会の商品で出ていました。



14-01.jpg
釣りブースにてナマズを釣り上げました



14-02.jpg
水上スキーブースを遠めで撮影



14-03.jpg
全米代表選手ウィルとのツーショット 


 それでは大会の概要について説明しましょう。まず、デビッド・カイリーに招待された48名の選手のみが出場を許される大会で、クイッキーのサポートを受けるパトリック・アンダーソンをはじめとするアメリカ、カナダの代表選手も多数参加していました。他にもD1で活躍する上位チームの選手が中心に招待を受けているのが特徴です。安については神保の売り込み作戦と参加を辞退した数選手の代わりに、彼の参加を認めてもらうことが出来たのでした。チームの構成は、まず主催者に決められた16人のキャプテン(神保もキャプテンに指名された)が、残りの32人をドラフト方式で一人ずつ引き抜いていくという方式だったのですが、時間の関係から神保がキャプテンミーティングに参加した木曜日の夜には既にチーム編成が決められていました。神保のチームメイトはジョシュ選手(写真右)とヘイスー選手(写真左)でした。ちなみにジョシュは現在22歳で全米のジュニア代表選手です。また、現在イタリアのプロチームから誘いを受けており、来季はそこでプレーする予定だそうです。彼が言うには「イタリアのチームからは車、アパート、給料がサポートされるので、アメリカでプレーするよりも条件が良い」らしいです。彼とは2シーズン前に数回試合をした経験もある知り合いでしたが、一段と上手くなっておりました。ヘイスーは地元ダラスのD2でプレーをしているメキシコの選手ですが、スピードがあるガードなのでバランスの良いチーム編成となりました。ちなみに安のチームは元全米代表のガードとビックセンター(共にD1選手)のチームで、これまたバランスがいいチームでした。



 14-04.jpg
神保チーム3人で記念撮影 


 次にルールの説明ですが16チームをA.Bリーグに分けて、初日(金曜日)に予選リーグ各7試合のリーグ戦が開催されました。ルールを簡単に説明すると、15ポイント先取方式で最長ゲーム時間は25分間。得点は1ゴール1点で、3Pシュートは2点、シュートクロックは25秒でした。また、ファールは選手の申告制というテキトウな試合ですが、ハイレベルな選手が多いせいか?意外と紳士的に進んでいたと思います。ちなみに神保も安も同じBリーグだったのですが、直接対決の結果は僅差ですが神保チームの勝利でした。初日の結果は4勝3敗同志で神保チーム(B組3位)、安チーム(B組4位)は翌日の決勝トーナメントに進出でした。ここで特筆したいのが安の活躍でした。最初は言葉が通じないのと安の実力を知らない関係で、彼にボールが回っていなかったのですが、時間が経つにつれてパスが回るようになり、最後は安がチームの得点を一番稼いでいました。しかも、物怖じすることなく国際クラスの選手にバリバリ仕掛けている姿は日本人選手らしからぬ光景でした。周囲の選手からも評判は上々で、安選手の可能性の大きさを感じました。ただし、D1では必要としてくれるチームが一つとして無かったことも事実で、いかにD1が選手にとって狭き門かと言うことも思い知ったのではないでしょうか?翌日の決勝ラウンド神保チームはA組2位のチームと戦ったのですが、ここには世界ナンバーワン選手と言われるパトリック・アンダーソン選手がおり、11−9まではリードしていたのですが、その後パットに2点シュート(スリーポイント)を4本中3決もめられて撃沈されました。安チームもA組1位のデビッド・カイリーチームに撃沈されて共に決勝トーナメント1回戦で敗退でした。結局優勝を飾ったのは神保チームを破ったパットのチームで、優勝チームの3人にはクイッキー社よりバスケ車を各1台と優勝賞金が出ておりました。まあ、筋書き通りと言う感じがしないでもないけどなー。



 14-05.jpg
決勝戦の様子 


 この大会期間中に色々なチームの選手、関係者と来期のチーム体制などに探りを入れつつ、自分のプレー先を考えたのですが、これが非常に難しいのです。というのも、殆どの選手は常時数チームと交渉をしているため、何処のチームに聞いても「多分○○はうちのチームに来るよ!」と、同じ人間について話しているのです。ということで水面下では各チーム同士の綱引きが行われているようで、来期のチーム体制については最後の最後までわからないといった感じです。ちなみにパットは昨シーズン優勝したミルウォーキー・バックスが本命、ウィルはバックスからカリフォルニアのゴールデンステートに移籍予定で、相変わらず米国のD1は移籍組みが多いこと。神保も現在4チームと交渉をしているのですが、その中でも一応チーム状況(実力、経済状態)や環境を総合して2チームに絞り込んで具体的な話し合いをしました。ある1チームはチームマネージャーと直接話をしたのですが、「万全の状況で受け入れる準備がある」という言葉があり、結構現実味が出てきた感じです。現在メールで詳細を確認中なので7月末までには決定したいと思っています。そして、夏のゴールドカップに日本のサポーターとして北九州へ応援に行った後、再渡米をしようかと思っています。この件は決まったら、またこの場で詳しく書こうと思っています。

 そうそう、それからこの旅行の余談として、最終日に安とアメ人の友達と3人でメジャーリーグを観に行ったときの話しです。テキサス・レンジャース対カンサスシティー・ロイヤルズだったのですが、いつもの通り一番安い外野席のチケットを6ドルで購入してから、係員の目を盗んで少しずつ下の階に移動をしました。(笑)そして、野球観戦をしながら一番日焼けが出来そうな1階席のエリアを見つけてたどり着いたときのことです。丁度カンザス側のブルペンを見ると何やらアジア人らしき人がいるではないですか。後姿を確認すると「SUZUKI」と書いてあるのです。そう、彼こそマック鈴木投手でした。最近有名な日本人選手がたくさん海外進出を果たしている関係で影が薄くなりましたが、マックはあの野茂投手よりも先にメジャー挑戦したチャレンジャーなのです。だから神保は以前から結構マックのファンでした。そこで、即行売店に行ってサイン用ボールとマジックペンを購入。マックにサインを求めると、「ごめんなさーい、試合が始まった後はダメなんですよー」と、つれない返事が返ってきました。「頼むよーーー」とねだってみると、控えのキャッチャーらしき人が来て「ボールとペンを寄こせ」と言うのです。そしてマック鈴木選手からサインを貰って着てくれたのでした。また、テキサスにいる伊良部投手は最後の最後まで見ることはできませんでしたが、どっちのチームにも日本人がいるってところがスゴイ時代になったなーっと実感しました。



14-06.jpg 
野球場でマック鈴木のサインを貰ってニッコリ 


 今回の旅はとにかく慌しくて疲れる旅でしたが、9日間バッチリ楽しめたように思います。世界のトップアスリート達もオフシーズン中に開催されたこの大会では、みんな和やかなムードでいつもとは違う顔を見せてくれました。それから、なんと言っても安との2人旅!きっと、もう2度とないことでしょう。と言うか、そう願っております。だって無理な注文が多いんだもんなーヤツ。(笑)

おわり 


posted by J's Page at 00:00| J's体験記

2002年06月17日

2ヶ月ぶりにアメリカへ行ってきました (前編) 〜安選手(千葉ホークス)とのアメリカ珍道中

 みなさんこんにちは。 ちょーーー、久しぶりの体験記です。Jは日本に帰ってきてから何故かこの“体験記”を書く気にはなれずにいました。理由は自分でもはっきりしませんが、多分実際アメリカに滞在していた時のような刺激がなくなっていたので、この画面に向かうパワーが出なかったのかも知れない。しかし、その間に多くの方から「早く更新して!」という内容のメールや声をいただき、本当に嬉しく思いました。また、2週間以上も前に掲示板で「更新予告」をしたにも関わらず、更新が遅くなってごめんなさい!

 さて、今回の話題は5月30日から6月1日にテキサス州ダラスで開催された「デビッド・カイリー、インビテーショナル3on3大会の模様をお伝えします。まず、この大会に参加することになった経緯について説明すると、1、神保が尊敬する元全米代表選手のデビッド・カイリー氏が主催する招待大会で、そのカイリー氏直々に招待を受けたこと。2、招待選手は基本的にアメリカ、カナダの代表選手やアメリカのD1選手を中心に招待されているため、来期のプレー先を決める上でも良い情報交換の場となる。という二つの理由からでした。そして、丁度同じタイミングで千葉ホークスの安選手から「俺もアメリカを知りたい!」という話があったので、急遽カイリー氏に「日本の得点王を参加させたい」と相談して了解を貰い、急遽安選手の大会参加&同行も決まったのでした。

 大会の話をする前に安と二人で始まったアメリカ旅行珍道中の話を幾つか。出発したのは5月27日の午後でした。しかし、出発前にいきなり安が「汗かいたからどこかでシャワーを浴びたい」と言い出したのです。確かに当日は異常に暑く汗もかいていたし、これから20時間以上も風呂に入れないのは辛いなーと思い、ダメ元で成田空港のインフォメーションに聞いてみました。すると、シャワールームがあるではないですか!ただし、出国者専用とのことで、飛行機のチケットを持っていないと利用はできません。二人はとにかく早めに出国手続きを済ませてシャワールームを目指しました。そこは、ちょっとしたラウンジといった感じで、インターネットサービスやテレビもありました。そして、カウンターで利用料金300円を払うと個室に案内されたのです。しかーし、シャワールームへの入り口には3段ほどの階段があり、しかも個室は非常に狭く車椅子の利用は想定されていませんでした。もちろん神保は無理やり利用をしましたが、国際空港だし、この辺は何とかしてもらいたいものだなーと思いました。シャワールームはビジネスホテルの浴室と同じ感じで、入ってすぐ洗面台と鏡がある更衣室になっており、奥に小さなシャワールームがありました。また、タオルや石鹸、ドライヤーに扇風機なども完備されていたので、狭いけど結構快適に利用することができました。海外にお出掛けの際は是非利用したい、お勧めの施設です。

  ところで、安は飛行機に乗って最初の食事タイムから立て続けにビールを3本4本と空けて、気分は絶好調と言う感じだったのですが、途中で「気分が悪い」とトイレに行ったきり、なかなか帰ってきませんでした。後から乗務員が来て、「お連れさんは、後ろの方で寝ています」と言うのです。彼に何が起こったのかは知りませんが、その後3時間も席には戻ってこなかったのでした。また、飛行機は予定通りダラスに到着したのですが、大会参加の前に神保の古巣バーミンガムに行く予定を立てていたので、今回は乗り継ぎだけの予定でした。しかし、ここでもハプニングがありました。もともと乗り継ぎのタイミングが悪く、待ち時間が4時間以上あったのですが、悪天候のお陰で更に1時間以上遅れる羽目になったのです。でも、5時間もの持て余した時間はアメリカン航空の専用ラウンジに行って過ごしました。丁度NBAの試合(東カンファの決勝、ネッツ対セルティクス戦)がやっていたのでテレビ観戦をしたり、空港内を散策して結構時間をつぶせました。そうそう、あまり知られていませんが、空港には誰でも利用できる各航空会社の専用ラウンジなんかもあるんですよ。 


13-01.jpg
ダラス空港にあるアメリカン航空の専用ラウンジにて(テレビとパソコンが置いてあり自由に使えます) 



  ダラスを飛び立ち、バーミンガムに着いたのは夜の12時前でしたが、「どうせここまで来たら海でも見ようか!」と話が盛り上がり、そのままレンタカーを飛ばして神保の友人達が住むモービルという町までドライブを決行しました。ダラスでの待ち時間を合わせると20時間近くにも及ぶフライトを経て、そのまま4時間のドライブはかなりハードでしたが、居眠り運転もなく何とか無事ノブさん(モービリアン1号)の家にたどり着いたのです。その後3人で世間話に盛り上がり眠りについたのは朝の7時過ぎでした。もちろん外は明るくなっているし、アラバマは既に夏の匂いがしていました。しかーし、俺達は昼前に起きて早速買い物へ出掛け、その後更に1時間ほど車を走らせてビーチに向かったのでした。タフでしょー?



13-02.jpg  
ビーチに向かうレンタカーを運転中の安



13-03.jpg
白い砂とエメラルドグリーンのビーチで安をパチリ 


 自分達は日中ビーチで焼いた後、またまた急いでモービルに戻りました。実はその夜モービルチームの練習日だったので、それに参加するためだったのですが、睡眠時間4時間で海に行って、帰ってからすぐにバスケなんて信じ難い予定でしょ?でも安は喜んでバスケをしていました。もちろん自分もですが、やっぱり眠かったかな。それと、安のプレーを見てモービルの選手達は一様に「凄く上手い選手だ!」と褒めちぎっていました。特にコーチのステファニーは、「出来る限りのヘルプをするから、是非うちでプレーして欲しい!」と、安のリクルートに乗り出す始末でした。ただモービルは現在D2だし、あまり強いチームではないので彼自身は興味が沸かなかったようです。その後モービルの仲間たちと夕飯を食べて、翌日早朝にはバーミンガムへと車を走らせました。何とも忙しい旅です。
バーミンガムでも練習に参加したのですが、選手達の反応はモービル同様で「素晴らしい選手だ!」と言われていました。特に全米ジュニア代表のジェーミー(17歳)との1on1は面白かった。最初は11対9で安の敗退。安いわく、「子供だと思って手を抜いた」とのことですが、「アメリカではそんな言い訳通用しないよ!」と、神保が一喝しました。そこで、ジェーミーに再試合を申し入れて戦った結果、今度は11対3で安の快勝でした。ジェーミーも「どうして全日本の選手じゃないの?」と、安のシュートセンスと気持ちの強さを絶賛していました。もちろんチームのみんなも「安が入ってくれれば強くなるので是非に!」との声が上がりましたが、ここでも安選手は興味が沸かなかったようです。確かにジェーミー、テディ、神保も辞めたレイクショアは、日本屈指のシューター安選手が興味を示す場所でないことも想像はついていたのですが。そして、練習が終れば足早に体育館を後にして夜の街に繰り出しました。アラバマ最後の夜も本当に色々なハプニングに見舞われたのですが(特に安)、これ以上は公衆の面前に紹介できないので書くのは控えます。(笑)
5月30日木曜日、いよいよダラスに向けてバーミンガムを出発しました。今度は経由でなく、一番の目的である“大会参加”が目的だったのですが、正直言って神保は結構疲れていて参っていました。しかし、安は旅行中ずっと「じんちゃん、もっとバスケがしたいよー!」「俺、腹が減ったよー」ばかりを連発していました。あー若いって羨ましい。でも気づくといつも居眠りをしているのは安の方で、実際のタフさは俺の方が上かもねー?なんて見栄を張ってみたり・・・・。
ふー、キーボード叩くのが疲れたので今日はここまで。次回に本題のダラス滞在記を書きます。


posted by J's Page at 00:00| J's体験記