2000年05月01日

C 車イスも遊び道具のひとつ 米国らしい感覚(2000年5月掲載)

 ゴールデンウイーク中に帰国し、東京で開かれた車イスバスケットの全国大会に、千葉ホークスの一員として参加しました。結果は残念ながら昨年同様の準優勝。その後、シドニーパラリンピックの最終選考合宿にも参加してきました。選考結果は後日とのことなので決まり次第報告します。

 ところで今回は、私が研修を受けているスポーツ財団のメイン事業であるジュニア育成プログラムから、毎週土曜日に開催される”スーパースポーツ”を紹介します。これは5歳から15歳くらいの子供を対象に、いろいろなスポーツに触れさせるという目的で行われています。

 ここで日本と違うのは、基本は”障害児”を対象としているのですが、障害のない子供も車イスを借りて参加したり、その父母や兄弟も一緒に参加して楽しむというところです。まさに車イスも一つの遊び道具として楽しんでしまうなんて、アメリカらしい感覚です。

 一回の参加費は昼食付きで5ドル(約550円)と非常に安く、通うことが困難な子供にはセンターのリフト付きバスで送迎もしますし、施設や道具なども全て無料で貸し出しをするので、誰でも気軽に参加できます。

 内容は基礎体力作りから始まり、バスケ、テニスなど各種スポーツの体験やメンタル面の講義など様々な形で行われます。どのメニューもゲーム感覚で飽きさせず、やる気にさせる工夫が盛り込まれているところも非常に勉強になりました。日本では考えられない重度障害の子供も参加しているのですが、手伝おうとすると「一人で出来る!」と逆に怒られてしまうほどのやる気を見せてくれます。

 もちろん中にはルールを理解できない子供や、集団行動が取れない子供もでてくるのですが、その際は指導者が、何度でも分かるまで熱心に説明をしたり、子供たちの質問や意見をしっかり聞いて、友達のように話し合っている光景がとても印象的でした。

 アメリカに来てつくづく実感するのは、ハード面での環境の良さもさることながら、それ以上に人や町全体がスポーツに対して協力的、積極的で、スポーツが生活に欠かせない重要な位置を占めていることがはっきりと分かることです。
posted by J's Page at 12:00| 神保康弘の夢チャレンジ